へっつい

へっつい

へっつい、落語の中によく出てくる言葉です。そのまま演題になっている「へっつい幽霊」「へっつい盗人(上方落語)」などもあります。
 噺のながれで「かまど」であることはだいたいお分かりかと思いますがさて形はというと???だと思います。よくご覧ください、写真のような形だったんですねぇ。へっつい幽霊ではこの中に三百両を埋め込み、品川心中ではこの中に頭を突っ込んで抜けなくなり、不動坊火焔の幽霊はこの上にぶら下がっていたわけです。
 さて長屋の狭い台所を見渡すと、土間には「へっつい」。煮炊きは薪を使っていました。鍋や釜があり、そばには渋団扇に火吹竹もあります。魚を焼く時は「七輪」を表に出して焼いたようです。
 へっついのほかには、 流しがあり、そこには包丁、まな板、桶などがあり、その横には水瓶が置いてあります。この写真には写っていませんが、横の棚にはざるが数種類そしてすり鉢、すりこ木、味噌こし、味噌、醤油、塩などを入れておく壷 や鉢が乗っています。また、紺木綿をわらにまぜて編んだ鍋つかみは常時へっつい側に掛けてあったそうです。
 写真上が長屋で使われたへっつい、下は資料館の設定としては船宿などで使われいた銅壷付へっついだそうです。

(資料提供:深川江戸資料館解説書より)

水瓶・共同井戸

水瓶・共同井戸

長屋の井戸は共同ですので、飲料水は各家の水瓶に汲み置きしておきました。場所によっては水質が悪く、飲料水として井戸の水が使えない場合 もあり、そういう所では水売りが、天秤棒に玉川上水あたりの水を入れた桶をかついで町々を売りに歩きました。落語でも「水屋の富」という噺の中でその様子が描かれています。
 飲料水や煮炊きの水は水瓶から使いましたが、台所が狭いので魚や野菜の下ごしらえ、また洗い物等は井戸端で行いました。ここは女房達の社交場、井戸端会議は毎日開催されました。
 また、七月七日の七夕の日は年に一度の井戸浚い(いどさらい)、長屋の連中総出で井戸の底に溜まった土砂などをきれいにしました。

(資料提供:深川江戸資料館解説書より)