長火鉢

長火鉢

長火鉢。”ながひばち”と呼びますが、江戸っ子は「ひ」と「し」が言えないので”ながしばち”になってしまいます。落語の中にもしょっちゅう出てくるように、江戸町家に欠かせない生活用具です。  江戸時代のはじめ木炭は武士のみが使っていましたが、やがて一般にも使われるようになりました。長火鉢は木炭を使った暖房器具ではありますが、その他にも様々な機能を備えていました。
 火鉢の中に銅壷(どうこ)が入れてあり、ここで湯を沸かし燗をつけたり、五徳(ごとく)を入れて鉄瓶をかけ、いつでも湯が足りるようにしていました。また引き出しは乾燥器として海苔や煙草を入れておきました。
 写真の中でぬいぐるみの猫がいるところを「猫板」といいますが、暖かくて猫には最高の居場所だった所からこの呼び名が付いたようです。また別名「げす板」とも呼ばれ、江戸時代の言葉で「げす」というのは、一日中ぶらぶらしていて役立たづの人のことを言ったところから、一日中丸くなって何にもしないで寝ている猫のいる場所で「げす板」とも呼んだそうです。

(資料提供:深川江戸資料館解説書より)

おひつ・蝿帳

おひつ&蝿帳

飯炊きの権助のせりふに「はじめとろとろ、中ぱっぱ、親が死んでも蓋とるな。オラァ一度だっておまんま焦がしたことはネェだよ」というのが ありますが、ご飯はへっついで釜を使って炊きました。
炊いたご飯は「おひつ」に移され、さめないように藁を編んで作った「めしつぐら」と呼ばれるものに入れておきました。
出来た食事に蝿が群がらない様に蝿帳(はいちょう)がありました。木枠に紗などの布が張り付けてあります。
 裏長屋では蝿や蚊に悩まされたようで、茶殻などを燃やして追い払ったり、シュロの葉でできた蝿打ち、蝿叩きのようなものもあったそうです。

(資料提供:深川江戸資料館解説書より)